薬草としての蓼藍
蓼藍(タデアイ)は、古くから染料として親しまれ、暮らしの中で受け継がれてきた植物です。また藍染めだけでなく、藍の葉を暮らしの知恵として利用してきた記録も残されています。
昔の人々は、成分の名前やその仕組みを知っていたわけではありません。それでも長い経験の中から、藍という植物が持つさまざまな性質を感じ取り、生活に役立ててきました。
~昔から伝わる「藍の力」を、現代科学から考える~
現在では、蓼藍に含まれるトリプタンスリン、インジルビン、フラボノイド類などについて研究が進み、昔から伝えられてきた「藍の力」を考える手掛かりが少しづつ見えてきています。
・ポリフェノール/フラボノイド
蓼藍の葉には、ポリフェノールの多くを占めるフラボノイドが豊富に含まれています。
これらは、植物が紫外線や外部からのストレスにさらされる中で、自分を守るためにもつ成分のひとつ。抗酸化作用や、炎症に関わる反応について研究が行われています。
蓼藍は高い抗酸化活性を示すことが報告されています。
| 植物 | H=ORAC値 |
| レタス | 43.1 |
| ほうれん草 | 222 |
| 蓼藍(地上部) | 587~623 |
※H-ORAC値は、植物などの抗酸化活性を示す指標のひとつです。
※数値は乾燥重量あたりの測定値です。
※同一研究内で比較されたデータを使用しています。
同じ測定条件では、蓼藍の地上部は、ほうれん草の約2.7倍、レタスの約14倍という高いH=ORAC値を示しました。
強い日差しや雨風の中で育つ蓼藍。その植物自身を守っている成分もまた、古くから蓼藍が人々の暮らしの中で利用されてきた理由のひとつなのではないかと考えています。
・トリプタンスリン
トリプタンスリンは、藍植物から見つかっている成分のひとつです。
現在では、抗菌作用や、炎症に関わる反応への働きなどについて、さまざまな研究が行われています。
古くから、藍染めの衣服は虫に食われにくいと伝えられ、藍そのものも、人々の暮らしの中でさまざまに利用されてきました。
昔の人が経験の中で感じ取っていた「藍の力」。
その背景には、トリプタンスリンをはじめ、現在研究されている藍のさまざまな成分が関係しているのではないかと、私たちは考えています。
・インジゴ/インジルビン
蓼藍を象徴する、深い藍色。
その色に関わる代表的な成分が、インジゴとインジルビンです。
インジゴは、藍の青色を生み出す代表的な色素です。
そして、私たちが注目しているのが、赤紫色を持つインジルビンです。
インジルビンは、単に色を生み出すだけの成分ではありません。近年では、炎症に関わる反応や、皮膚の健やかな状態を保つ仕組みとの関係について研究が進められています。
私たちは、インジルビンに大きな可能性を感じています。
藍というと、多くの方がまず「青い色」を思い浮かべると思います。
けれど、私たちは蓼藍の価値は、その美しい色だけではないと考えています。
昔から薬草として利用されてきた藍。その中に存在するインジルビンという成分が、現代になって皮膚との関りから研究されていることは、とても興味深いことです。
藍里農園では、この蓼藍から得られるインジルビンに着目し、洗顔石鹸「藍々」にもその特徴を生かしています。
~同じ「藍」でも、同じ植物ではありません~
白髪染めに使われる「藍」には、蓼藍・インド藍・琉球藍などがあります。
同じ「藍」と呼ばれ、いずれも青色を生み出す植物ですが、植物としてはそれぞれ異なります。
植物が違えば、色素だけでなく、含まれる微量成分やその割合、葉の組織や結晶なども同じではありません。
実際に、インド藍については、天然のヘアカラーとして使用した際のアレルギー性接触皮膚炎が医学的に報告されています。
一方、蓼藍には、トリプタンスリン、インジルビン、フラボノイド類など、現在さまざまな研究が進められている成分が含まれています。
藍里農園には、
「インド藍では痒みを感じていたけれど、蓼藍に変えてから気にならなくなった」
という声が寄せられることがあります。
現時点では、その理由を一つの成分だけで説明することはできません。
私たちは、同じ「藍」であっても、植物そのものが違い、そこに含まれるさまざまな成分や構造が異なることが、人によって感じ方が変わる理由のひとつなのではないかと考えています。